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「なぜパッチワークを50年以上も続けてこられたのか、聞けないまま母は亡くなってしまった」
古布に宿るさまざまな時間。それらを交わらせ、縫い合わせた母の記憶と温もり。
降り積もるように重なった母と家族と過ごした時間と、振り払うように忘れ、生きてきた"あいつ"の記憶。
家にはいつも母が作ったパッチワークが溢れていた。甘い焼き菓子の匂いと編みかけの縫い物。幸福を象徴するアイコンであった"パッチワーク"と、その頃の日常に存在した暴力と別離。
『DECOTORA』や『東北』などの著作で知られる写真家・田附勝が病魔に襲われた母の看病や介護、そして最期の別れを経て、母が愛してやまなかった自宅のパッチワークを通じ、母の声なき声、そしてあの頃の記憶を浮かび上がらせた、初の私小説的作品集。ユニークな装幀は〈白い立体〉の吉田昌平。岩手で立ち上がった新たな出版レーベル〈射的文庫〉第一弾。
(2025年・射的文庫)