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前はね、(午前)3時まで開けてた。3時ゆうても、よう飲むお客さんだったら下手したら4時、5時までになってた。夜が明けてしまう(笑)。それでも貯金するという観念がなかったから。うちのおばあちゃんも「自分とか娘が病気になったときはいいけど、あんたが病気になったら働く人がおらんから、貯金しとかんと」ってゆうてたけど、まあ、乞食してでも生きていきゆうき、なんとか生きていくわい、ゆうような横着で、まったく。
ずっとあった店。ずっとそこにあって、客を迎え入れ、さまざまな紆余曲折や苦難を乗り越え、続いていった店。その奇跡的なバランスと時間の連なりのほんの一部をライター・スズキナオが聞き書きで捉えた、ずっとあった店の記録と記憶。
2024年11月30日に50年の歴史に幕を下ろした高知県高知市の屋台〈スナック屋台おふくろ」の店主シヅ子さんの、店の歴史とその人生。
(2025年・ことさら出版)