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「数々の失敗があった。後悔することばかりだ。自分がしてきたことはなんてちっぽけなことだったろう。不完全なものばかりだ。妥協してしまった。言い訳を言いたくなる。それが実力だったのだ。……ごめんとありがとうしか言葉はない。」(本書より)
妻を見送ったあと、終の棲家を求めて海の見える街にやってきた。朝凪に包まれて、海岸を愛犬と歩く。胸に去来するのはむかしであった人びとと、なつかしい出来事。寂寥とノスタルジーを抱きしめて、船はすすむ。稀代の音楽家による書き下ろしエッセイ。
(2023年・文遊社)