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盛岡ノート(再刊版・増刷)

1,375円

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はじめて盛岡に着いたときは夜だった。その夜は春だというのにとても寒くて、いったん段ボールにしまったはずの薄手のダウンを引っ張り出して羽織ると、自転車に乗って官公庁のあたりを何遍も走った。中津川のあたりを通ると古めかしい造りの街灯が遠くからぼんやりとぼやけて見え、まるで倫敦のような雰囲気だなと思ったのを覚えている。『盛岡ノート』は自分にとってそのような盛岡という知らない街の、まだはっきりとしない、くぐもった輪郭をまざまざと思い出させる書物だ。それに盛岡に住む人の、あたたかみのある、洗い晒しの木綿のような心持ちの清廉さ。新しい読者はこの小さな本を、どんな風に捉え、どんな風に読むのだろうか。 1938年、病気療養のため約1ヶ月盛岡の深沢紅子の別荘に逗留した詩人・立原道造。 立原が滞在中見た風景や街並み、出会った人々や心情を一冊のノートに綴った文章に、画家・深沢紅子による挿画を添えた『盛岡ノート』。1980年にかわとく壱番館によって刊行されたものの、長らく絶版となっていた同作品を2007年に「盛岡ノート刊行委員会」が復刊。その後しばらく品切れとなっていた本書が久々に増刷されました。作中に登場する場所などを記載した文学地図も付いた増刷版。 (2023年・いわてアートサポートセンター)

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