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「映画を作っている時の僕は、まるで狂人だ。というのも、映画を作っている時は、それが人生だからだ。その時はそうなんだ。映画作りは美しい女性みたいなもんだよ。恋に落ちてしまうんだ。そして映画が終わると、愛が終わったみたいに感じる」
金もうけばかり考えている連中。ものごとをすぐに相対化することによって、数字だけで結果を推し量る連中。そういう俗物たちに魂を売り渡さず、いかに身を守り、自分の信念を貫きとおすか。
『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』の主人公、滅びゆく男コズモは、ハリウッドに背を向け、家を抵当に入れてまでも映画を撮り続けたカサヴェテス自身のメタファーだと思うのは安直すぎるだろうか。アートを続けること、人生をかけて何かを成し遂げることの困難さと喜び。ニューヨークインディーズの父と呼ばれた男が、自作について新聞、雑誌、ラジオ、テレビのインタビューなど300以上の異なる出典から集められた3000ページ以上に及ぶ発言をまとめた貴重な一冊。表紙・本文経年ヤケ。
(2000年・幻冬舎)