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何も足さない。何も引かない。ただ、そこにあるものをひょいとつかまえて空間を設え、よく手入れされた道具で魚を捌き、良い水と、自然の恵み、そしてほどよく火を入れたうまいシャリを使って、自分の手で握るだけ。握る男は福岡の街の喧騒から離れた魚市場の側にある、鄙びた寿司店の店主。男とそこに流れている空気をカメラに捉えるのはホンマタカシ。極限のミニマリズムに貫かれた、言葉のない詩の本。
1979年創業の福岡の老舗寿司店「吉富寿し」。左利きの大将、吉富等の姿を捉えたホンマタカシの小さな写真集。
(2021年・白船社)