季節は夏から秋へと変わる。テラスに「ぼく」は季節のうつろいに驚き、その季節のひとつひとつを部屋へ取り込もう窓を作る。永遠と一瞬。豊かな風景の喪失の漆黒。子どもたちの豊かな感性に贈る一冊の絵本。 詩的な言葉で少年の心理を幻想的に描写したイランを代表する詩人アフマディーの物語に、作画を担当した映画監督キアロスタミが写真のコラージュに彩色を施して、そのイメージを映し出す。ドキュメンタリーのような手法を駆使して、「ここにしかない今」を追求したキアロスタミの「一瞬」への執着を垣間見ることができる貴重な絵本。二人が30歳の時に刊行された幻の絵本を本邦初訳。 (2022年・カノア)