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本書には「『ものを書く』ことの隠喩でもあるかのように、ときにはなんでもない、あるときには非凡な人たちの話が、小さい叙事詩のように織り込まれる」(須賀敦子/朝日新聞書評より)。
アニー・ディラードに出会ったのは、高校生の頃。図書館で毎週のように片っ端から本を借りていたときに、偶然彼女の『ティンカー・クリークのほとりで』にぶつかった。その本はジャンルでいうところの「ネイチャー・ライティング」だったのだが、他のそれらの本と比べ彼女の文章はずっと詩的で、時に観念的で、気難しく、文学的な険しさを持っていた。
それから三十年が経ち、とうに絶版になっていたこの本によってぼくは彼女の創作の秘密を知る。ものを書くことの矜恃と、恐ろしさ。その喜びと苦しみ。崇高さとだらしなさ。すべてが渾然一体となったとき、一冊の本が書かれるのだとしたら、本を書くという行為は何と人間的な行為なのだろうか。
新たに訳者・柳沢由美子さんの新版あとがき、鶴ケ谷真一氏による解説、BOOKNERD店主早坂が巻末エッセイを寄稿しております。
(2022年・田畑書店)