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ぼくは40歳を過ぎてからこの小さな街に小さな本屋を作った。 誰に笑われてもかまわなかった。 それはぼくの人生で、生きることのすべてだったのだから。 これはぼくの、ぼくだけにしか体験し得なかった物語だ。 そしてその物語はいまもなお続いている。
(本文より)
まずはじめに、ぼくはなんとなく流されて生きていたということを語らなければならない。明確な人生の目的やキャリア設計もなく、ぼくはサラリーマンになり、食うために、そして人並みないい暮らしをするためにがむしゃらに働いた。やがて安定した暮らしとキャリアを手に入れたとき、ぼくには突然働くことの意味が分からなくなった。生きているうちのほとんどの時間を仕事に捧げ、昼も夜もなく働いてきたぼくの人生とはなんだったのだろうか。急にすべてがむなしく、色あせて見えた。
それから紆余曲折があり、いつしかぼくはこの小さな街で本屋を作ろうと本気で考えていた。ある日、そうしていいのだ、と誰かが肩を押してくれた気がして、ぼくはこの街で本屋を開くことにした。
この本はぼくが本屋を作るまで、そして本屋を開いてからの現在進行形の物語だ。
2021年3月26日(金)、ぼくの初めての著書である『ぼくにはこれしかなかった。』が木楽舎より出版されます。ただ流されるように生きてきたぼくがサラリーマンを経て、起業に失敗し、岩手県盛岡市に小さな本屋「BOOKNERD」を開業するまで、そして開業後の紆余曲折と人生に起こったさまざまな出来事を書いています。
働くことの意味、そして好きなことをして生きていくことの素晴らしさとその代償をありのままに、我が身に起こったままに書いたつもりです。
( 書き下ろしのブックレビュー「ぼくの50冊」も収録しています)
全国の書店に一般流通する本ではありますが、本日よりいち早く『ぼくにはこれしかなかった』の予約受付を当店のオンラインストア、そして店頭で承ります。予約特典として200部限定のオマケ特典付きは早々に完売となりましたので、要らないと思いますがサイン本をご用意します。
早坂大輔(はやさかだいすけ)
1975年生まれ。サラリーマンを経て、2017年に新刊・古書店「BOOKNERD」を 開業。書店経営の傍ら、出版も手がける。 主な出版物に、くどうれいん著『わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版』。
イラストレーション/山本万菜
写真/奥山淳志
ブックデザイン/福永耕士
本文設計/仲川里美(藤原印刷)
編集/小梶嗣、中野亮太(木楽舎)
(2021年・木楽舎・B6判/並製本/224p)