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盛岡はいいな、秋田には何にもね、と秋田に住む友人や知人は言う。本当にそうだろうか。芭蕉が徒歩旅行で辿り着いた北の到達点、日本海のえも言われぬ哀愁。北方民族たちの文化の玄関口。ブルーノ・タウトが感嘆した幽閉された雪国の、精神的に澄み切った素朴な洗練。従来の枠を超えて美術/写真史を論じてきた美術史家・伊藤俊治が、故郷・秋田を歩きながらその風土の深層へと分け入り、写真家・石川直樹がその異形の風景を鮮やかに浮かび上がらせる、極めて異質な日本文化論。
(2024年・亜紀書房)