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"青に「ボス、八戸で死なないでね(笑)」と言われた。だんだん、おれが死ぬことがネタ化していて、それはそれでがん告知されてからの家族間の時間の蓄積が感じられ、面白い。”
”中岡さんが「人工肛門がどうなったのか、今後の治療はどう進む予定か」を知りたがっているのは十分伝わってきたが、ごめんなさい、それは言えない。言うとこの場がシリアスな雰囲気になるので、おれはそれが嫌だ。シリアスなことは全て作る本(この日記含む)の中にぶち込む。普段の生活では、死ぬまで適当に、みんなとへらへらバカ話だけをしていたい。だってこの世のすべては残像じゃないか。”
死ぬのがはじめて怖いと思ったのは子どもが生まれたときだ。それからというもの、自分のほかにもうひとりの自分が並走していて、次の世代に自分がなにを遺せるか、そいつが常に見張っていてぼくに指示を出す。
もう一人のあいつが言う。この日記はぜんぜん笑えない。それは自分がいま目を逸らしている、怖さそのものだから。
ひとり出版社「百万年書房」代表・北尾修一による、ガンが発覚した『自分思い上がってました日記』の続編。本格的な抗癌剤治療の生活と並行し続く活発な出版活動と家庭、日常。『自分思い上がってました日記』と併せてどうぞ。
(2023年・百万年書房)