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「なあ、平成の大不況に生まれて令和になったらコロナがきてよ。
仕事も無くなって税金も上がって最低賃金は安いし、俺らみたいな底辺に未来はねえだろうが。欲望のままに生きて、何が悪いんだよ。」
効率性や有用性ばかりが求められるこの国で、行き場を失った人間たちが暮らすシェアハウスという民主的なコミュニティが変貌し崩壊してゆくさまと、平成が終わり令和という分断の時代が始まる、そのシンクロニシティ。
もはや人間のプリンシプルに底辺も上級国民もない。現代社会に突きつけられている「倫理」や「正義」とは。『奈良へ』の大山海が放つ、大阪のシェアハウスを舞台にした今年最大の問題作。
(2023年・リイド社)