new






2021年11月7日
4度目の緊急事態宣言が明けた。
風の流れを表した模様が地面に描かれた美術作品を見て、100メートルを超えるダムへの階段を勢いよく登りはじめた。
しかし、予想以上にきつく、途中からゆっくりゆっくり休み休みになる。
ついに上まで登り切ると、目の前に茫洋とした貯水池が開けた。眩しい。
いつ間にか声に出して言っていた。
これ、世界の果てじゃない?
写真家・宇壽山喜久子が2020年4月から2023年1月までの日々をスナップと言葉で綴ったフォトダイアリー。人と社会のあいだに線が引かれ、他者と接触することを躊躇わずにはいられない、息苦しい日々。人間たちの変化とは別に自然は自然のままで、花は美しく咲き誇り、街は変貌を遂げ、子どもたちは大きくなり、世界の沈黙とは別に季節は過ぎていく。来年4月に当店でも写真展を開催予定。
(2023年・セルフパブリッシング)