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水。温度。雨量の多寡やテロワールによって形成される味の、味覚のローカリティ。本来その土地が持っているはずのもの。持っているはずのものによって形づくられる味の記憶と相性。グローバリズムという嵐が吹き飛ばしてしまった荒地に残った、「味覚の土台」という美味しさの尺度の芽。
風土も食習慣も異なる日本人が美味しいと思うワインとは何か。
『フランスのアイデンティティ』『食のイタリア文化史』『ワインづくりの思想』etc……。さまざまな文献や書物を紐解きながらオーストリアのワイナリーや産地を回り、わたしたちが思う「美味しさ」を考察した京都のワインショップ〈仔鹿〉店主による紀行エッセイ集。
(2023年・仔鹿)