アイム・ア・ダッチマン・イン・ニューヨーク。 1984年から1995年にかけて毎年のようにニューヨークを訪れ、スティーヴ・ブシェーミ、ジム・ジャームッシュ、スパイク・リーらの著名人や市井のニューヨーカーたちをポラロイド・ランド195カメラを使って撮りためた、オランダ人写真家ピーター・ヴァンダルメール。 ヤバイエリアも何のその。ズンズン街の深部に入っていきながらまるであの都市の空気を捉えるように、天才的なコミュニケーション能力でさまざまな人びとを実に軽やかにシャッターに収めたであろうことは被写体の表情から読み取れる。 ストリート・フードとデオドラントの匂い。壁のタギング。けたたましく鳴るサイレンの音。ウーファーから大音量で聴こえてくるファットなビートが写真から聴こえてくるような、素晴らしい写真集。 （2023年・Lecturis )