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"「ある対象を撮って、それを捉え得るとは僕は決して思わない。自分にとって大事なことは、その中にどれだけ入っていけるかということ。どれだけ自分を反映できるかということ。ファインダーをのぞく行為自体が肉化したものでありたいということ。〈中略〉写真はもっと自由自在に使えるような気がしてならない。自分の存在をひっくるめての関わり合いができるのではないかと思う」"
(深瀬昌久 1969年)
極私的な出来事や実人生におけるドラマツルギーを写真に収め、写真表現における「私写真」という独自のジャンルを確立した写真家・深瀬昌久。
妻や家族など身近な存在にカメラを向け、自身のプライベートを晒しながら、自己の内面に潜む狂気をシャッター音と共にフィルムに焼き付けていった深瀬の、代表作である「遊戯」「洋子」「烏(鴉)」「サスケ」「家族」「ブクブク」など、1960年代から1990年代初頭までの充実した作品群をハンディな判型の中に収載したレトロスペクティブ的一冊がついに刊行。
(2023年・赤々舎)