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シカやイノシシの気配を探るように
落果した小さな木の実を採集するように
あるいは土の焼き物に祈りを込めるように。
身体を高く低く、においや音、空気や力を全身で感じ取ろうとした。
目の前にたち現れる自然に、遠く縄文人の物語を想像する。
(『その火は燃えているか』より)
たとえば切り開かれた原野にひとり立っているとき。たとえば海岸線にそびえる岸壁の、削り取られた岩肌を見たとき。わたしたちよりもはるか昔におなじ場所で生きていたはずの、祖先たちの気配を感じ、そこに流れていたはずの時間を想うことはないだろうか。
青森の三内丸山の縄文遺跡で出会った栗林が契機となり、写真家・吉森慎之助が縄文時代をテーマに、原初の日本の祖先たちの姿や積層から採掘されたオブジェクトから見えてきた古代の智慧や技術を、現代に残された自然の輪郭から見出そうとする。
2月後半から3月にかけて、当店で同写真集の出版を記念した展示も予定しています。
(2023年・applause)
写真集