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ぼくらはキッチンにいる、
所はニューメキシコ州のサンタ・フェ。
ベーコンを炒めているんだ。
ベーコンはきみの好きな名画の
登場人物のような匂いがする。
美しい女性がそのベーコンを
じっと見ている。
(ぼくらはキッチンにいる)
しみのついたソファ。長距離電話。墓掘り人。死者たち。カーネル・サンダース。アメリカの夢。
ブローティガンの詩世界はまるで寝床に灯るランプのように穏やかで、どうしようもなくやさしい。
かつて『突然訪れた天使の日』というタイトルで思潮社から邦訳され出版された、リチャード・ブローティガンが1976年に出版した9番目の詩集『Loading Mercury with a Pitchfork』が装いも新たに、中上哲夫の新訳で刊行。
(2023年・百万年書房)