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優れたアウトサイダー・アートが職業現代美術作家に与えるショックのように、雪国の貧農が生んだ"ぼろ"の思いがけない美の世界は、ファッション・デザインに関わるすべての人間に根源的な問いを突きつけ、目を背けることを許さない。
(本書より)
キュレーター・小出由紀子と編集者・都築響一が驚愕した民族学者・田中忠三郎の古布のコレクション。忠三郎氏が青森県内の農村や漁村を歩いて回り蒐集した"ぼろ"切れの力強い美しさと人の心の通った温もりは、同じ青森のこぎん刺しや菱刺しとは違い、民藝という文脈から評価されることはありませんでした。それらのぼろ着を従来の文脈で語るのではなく、まったく新しいテキスタイル・アートとして豊富なカラー図版で紐解き、再定義しようと試みた、重要な一冊。カバー上部にわずかなヨレが見られる程度。
(2014年/三刷・アスペクト)