小さな齟齬によって生まれた偶然ともいうべき、キラキラした人工的な光のなかの世界。日常を日常として見つめているはずなのに、切り取られたものはひどくよそよそしく他人行儀で、なんだか懐かしくあたたかい。 シンクに置かれた切り花、冷蔵庫の中のイチゴのショートケーキ、床でうたた寝する3人の息子、電車に乗っている青年、手をつないだカップル。 日本人写真家、原美樹子が切り取るソーシャルな世界の手触りは、どこかパーソナルな質感を湛え、わたしたちの眼前に生温かいまま提示される。 本書は、1996年から2021年までの未発表写真を、版元である「CHOSE COMMUNE」と作者の共同で選定してまとめられた1冊。サイン入り。 (2022年・CHOSE COMMUNE)