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貧しさや物の無い時代に必然性から生まれた刺し子という技術は、そもそも綿花の育たない寒さの厳しい東北地方で古着の端切れの生命を存えるために生まれた技術でした。ただ布に糸を通すだけではなく、形や模様にもそれぞれ意味があり、糸に心を込め、身を纏う人が寒さから身を守り、吉が訪れるようにという祈りにも似た愛がその布一枚に詰まっています。
庄内刺し子という文化を、デザインという観点から、またこの物が溢れた時代に何がわたしたちの心を潤し、豊かにするのか、という観点から伝える「絲綴(ITOTSUZURI)」。その活動と思想、庄内刺し子の魅力を閉じ込めたリトルプレスがこの『SASHIKO BOOK』。すべて作家本人によって一冊一冊糸かがり製本を行い、庄内刺し子の布を手貼りで貼り付けています。手間のかかるそうした手作業は、リトルプレスの製作自体から庄内刺し子の精神性を伝えようと意図されたものです。限定300部。
※表紙に古紙を原料としてつくられている再生紙を使用しているため、多少ランダムに色が混ざっている場合があります。
(2021年・絲綴)