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ニュージャージーに長年住んでいた先輩からパターソンという街の印象を聞いたことがある。バスで通過するだけの、特段印象の薄いくぐもった街。
写真家ジョージ・タイスも陽光きらめく西海岸の長旅から、ホームタウンであるパターソンの街に戻って来たときに同じような印象を抱いたのではないだろうか。ここには大都市の持つ煌びやかさも、ヒップでシャープな華やかなもない。ただあるのは自然と、市井の人々のつましい暮らし。そしてどこか大らかでのんびりとした、眠たげなパターソンという街。それだけなのに、なぜかこの街の空気がとても愛おしくなる。そんな傑作をこの写真家は作り上げた。全体的に綺麗なコンディション。美品。
(1972年・Rutgers University Press )