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いまいちばん首を長くして待っている映画はPTAの新作『Soggy Bottom』(ワーキングタイトルらしい)だ。1970年代の、それもサンフェルナンド・バレーを舞台にした青春ドラマ、と聞いたら悪いわけがない。それにしてもPTAは執拗に1970年代を、しかもLAのサンフェルナンド・バレーを描く。もちろん彼の出自もかの地で、そこがルーツということもあるのだろうが、『ザ・マスター』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のオーソン・ウェルズの如き大作感よりも、『ブギーナイツ』に『マグノリア』、それに『パンチドランク・ラブ』のあのポップで乾いたLAの風景こそがいちばんPTAらしい気がする。
日本未公開デビュー作『ハードエイト』から現時点での最新作『ファントム・スレッド』まで。スチール、描き下ろしイラスト、映画ポスターなど豊富なビジュアル300点や、撮影監督や編集技師、衣装デザイナーほか、アンダーソンの共同制作者たちのインタビューも収めた豪華決定版。序文が『アンカット・ダイヤモンド』のジョシュ&ベニー・サフディ兄弟というのもいい。
(2021年・DU BOOKS)