奈良へ
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奈良へ

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この時代、アホでいるのにも精神性が必要だと強く思う。 みんな生きていくのに必死なのに、強力な毛生え薬の話題やらウ◯コネタをLINEで忘れた頃に投下するぼくの地元の友人は、尿管結石と胃潰瘍と十二指腸潰瘍がある日一度にやってきた。ディストピアみたいな現実とか、どんよりした日常から目を逸らし、口笛を吹き続けるのも根性がいるということだ。大山海の『奈良へ』を読んで最初に思い出したのはその友人のことで、漫画家とヤンキー、パンクスと千斗くん、古寺と野球部員。うんざりするようなリアリズムと虚構が入り混じって、奈良という古都を舞台にぐちゃぐちゃに時空が壊れていき、最後には全てがつじつま合わせのように整うこの群像劇を読んでいたら、あの友人からときおり送られてくるLINEの絵文字を見たときとまったく同じ感慨が湧いてきた。しょうもない人生だけど、人間にはカルマがある。友人から届くゴリラのガッツポーズやヒヨコのマークにはそんなメッセージが隠されているとぼくは信じている。この本も誰かにとっての友人からの絵文字になればいい。 売れない漫画家、野球部員にマイルド・ヤンキー。古都・奈良で繰り広げられる虚構とリアリズムを行ったり来たりする若者たちの群像劇。 (2021年・リイド社)