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親元を離れ暮らす不肖の息子や娘たち。
彼らの、彼らなりの生き方の選択。
そして並行する列車のように進んでいく親たちの人生。
途中で切れてしまった紐を結び直すように、うまくことばには言えない残酷で卑怯で愛に満ち溢れたつながりのような関わりがそこにはあるはずだ。
本を読み終えたあと、遠いむかしのある雨の夜、母から歌ってもらった子守唄を思い出していた。
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食と酒にまつわる数多くの執筆で知られるライター井川直子さんが「ごく私的」な文章として綴った、認知症の母と向き合った記録。
パーソナルで普遍的な、すべての不肖の娘や息子に捧ぐエッセイ。
(2019年・リトルドロップス)